CHART-DATE : (1999/02)
作品
黒面の者
… ブラックマスク(黒侠)

(主演:ジェットリー)


お話

 チャイな、ユニバーサルソルジャー。


お話

 基本的には、組織から逃げ出した改造人間の孤独な戦いという典型的なヒーローもの。典型的というのはけっして悪いことじゃない。問題は、それをいかに料理するか。ようするに面白ければ勝ちなのだから。
 で、この作品なんだけれど、話の展開が粗いっちゅーかなんちゅーか。絵面優先主義なんですかねぇ。話の流れ上、押さえなければならない説明シーンを省いているせいで、“なんで?”と思ってしまうところが多い。
 例えばブラックマスクが登場した後、TVニュースで話題になったりするのだが、たった一度、しかも一般人なんかひとりもいないような状況での闘いであったにもかかわらず、なんで世間に知れたのか、そして世間はどう考えているのかなどは描かれていない。そのせいで、主人公が謎のヒーローであらねばならない理由、親友の刑事にすら正体を明かせない理由が曖昧になってしまっている。見る側で想像してちょーだいということなのかも知れないが、それはちょっとキビシイんじゃないだろか。

 もっとも、香港映画(そういうくくりで妥協するのはイヤなんだけれど)としては、おおむねこんなんばっかだし、そういう意味では標準的なのかな。

 と、重箱をつつくのはこのへんにして、あとは誉めます。
 まず、なによりもジェットリーのアクション。相変わらずスゴイ。端正な顔だちが繰りだす舞のごとく流麗な功夫。そして決めでぴしりととまる。格好良すぎ。特に“オーッ”と思ったのは、技を受けた後の受け身の面白さ。
 また、アクションを見せる舞台もいいんだ。
 かつての戦闘部隊の教え子との鉄塔上での格闘は遠く足元に広がる森や遠くの町並みが高度感を否が応でも感じさせる。ハラハラドキドキしまくり。親友との朝日射す墓地での殴り合いは、拳にお互いの気持ちをのせているのだと、うるうるもの。これぞ香港映画。

 ヒーローとしてのブラックマスクがいい。登場シーンにかかるちょっと懐かしい感じのするBGMもさまになっている。マスクの造形もいけてるが、ここはやっぱり黒マントに黒帽子のダークなかっこよさを誉めなければいけないだろう。。いやぁ、眼福。

 万人に勧められる映画ではないことはわかった上で、それでもあえてリコメンドしてみたい。


お話
  1. 上で誉めといてなんだけど、制作のツイハーク。よく『香港のスピルバーグ』と称されているけれど、それほどすごいかしら。てゆーか、スピルバーグってそんなにすごいもんじゃないから… じゃあそういうことなのか?
  2. 親友の刑事役、ちょと中野英雄に似ているラウチンワンは、十萬火急で知った役者なんだけれどいい味だしてるよな。
  3. カレンモクって、そうかこんな感じの女優なんだ。決して美人じゃないんだけれど、なんか惹かれるタイプってとこだよね。いいじゃん。
  4. ところで、広東語で唯一(でもないけれど)ヒアリングできた単語があった。それはパンヤオでした。ははは。

お話
★★★ ☆☆

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