CHART-DATE : (2000/05)
作品
最新機種
… イグジステンズ

(監督:観る側も苦労ねんバーグ)


お話

 「ハード」じゃなくて「ソフト」なのだ。


お話

 肉体の人為的変容。現実と虚構の境界の揺らぎ。というクローネンバーグおなじみのネタを、これまたクローネンバグお得意のバイオ系メカで味付けした話。なんかとっても古くさいのである。ようするに大いなるマンネリズムというわけだ。
 バイオ系メカは嫌いではないのだけれど、もはや新鮮な驚きをもたらすアイディアではなくなっている。肉体の変容、改造もまた然りで、サイバーパンクムーヴメント以降、もはや肉体の変化とその葛藤などはクリアされたテーマなのだ。まあ、このふたつはまだいい。味付けの部分だから。
 問題は、作品の根幹のテーマである「現実と虚構」。まさかここまでありきたりだとね、どうもね。煎じ詰めると“胡蝶の夢”パターン、現実と虚構が入り交じることによる、現実感の喪失という恐怖をそのまま描いただけの話。今更それがどうしたというのだろう。もういいよって感じである。
 所詮、現実も虚構も主観的には同一線上のものでしかない。その区別など本来必要ない。ではその境界が取り払われてしまった世界はどういうものなのか。という、さらに進んだレベルの物語を観たかった。

 ま、テーマ的は問題点は以上のとおりだが、実はもうひとつ問題がある。
 そもそも仮想現実ゲームに熱中するには、それに見合うだけの面白いストーリーがないといけないと思うのだ。そしてそれは映画という仮想現実にもいえる。実は、テーマが古くさくても、ワンパターンでも、話が面白ければいいのだ。ところが観ていて心を浮き立たせるところがない。映画としても、そこに描かれるゲームも。

 と、そんな粗ばかりが目立ってしまい、結局、クローネンバーグのいつもの神経症的妄想にえんえんつきあわされただけ。げっそりしたというのが正直な感想である。


お話

 もっとエロティックな作品になっているのかと思ったら全然健全なのでびっくり。いや別にエッチならいいのかというと、そういうことではないのだけれど。


お話
☆☆☆☆

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