CHART-DATE : (2000/05)
作品
攻城
… マーシャル・ロー

(監督:エドワード・ズウィック)


お話

 多民族国家間問題。


お話

 たたみかけるようなサスペンス。FBIやCIA、陸軍が自国の組織であるにもかかわらずそれぞれの思惑で共闘し裏切り、敵対する。重厚で複雑に練られた物語である。
 面白いはずなのだ。しかしなにかが違う。どうもうまく話に入り込むことができない。

 サスペンスフルはいいが、少々目まぐるしすぎるのかもしれない。登場人物も多いというわけではないが、誰が、そしてどの組織が、お互いどういう思惑で、なにを目的に行動しているのがなかなか見えてこないのだ。いやいったん見えたように思えると実は敵国とつながっていたり、複雑過ぎる。敵も味方も二転三転する人間関係のおかげで、犯人は誰かはまあいいとして、犯人の目的はなにか、事件の骨子はどこにあるのか、全貌がつかみにくい。そのせいでせっかく骨太で国際的な事件であるはずなのに、どことなく矮小な印象を持ってしまう。
 物語も中盤あたりになると、ようやく整理され話の目的、到達点が見え始め、面白くなるのだが、そこに至るまでに直観的に話をとらえることができず、置いてきぼりをくらったということなのかもしれない(オレのせいか?)。
 ともあれ、そこらへんをもう少しうまくさばいてみせてくれると観る側(というかオレが)すんなりと映画に没頭できたのに、残念だった。

 というわけで、話もテーマも悪くない、極上の社会派サスペンスになりうる題材でありながら、いまひとつ大化けするに至らなかったとても残念な話であった。でも決してつまらなかったわけじゃないからね。


お話
  1.  話としては、一人の将校の独断専行が招いたトラブルということで幕は閉じるが、しかしその肝心の将校が「結局なにをしたかったのか、なぜその行為に及んだか」の理由づけがよくわからないままであった。功名心なのか、忠誠心なのか。あるいは物欲なのか?
  2.  実は人種問題が大きなテーマなのだが、ひとめで誰が何系であるかの判別が難しいというのも、よくわからない原因のひとつであるかもしれない。もしもっと実感を伴うのであれば、身近でリアルな難しい問題として受け止められたであろうに。

お話
★★★ ☆☆

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