CHART-DATE : (2000/08)
作品
作者匿名
… 迷宮のレンブラント

(監督:ジョン・バダム)


お話

「ん? これは失敗作か?」
「いいえ、本物でございます」


お話

 一応犯罪を絡めたラブロマンスのようなのだが、それを主軸に据えて話は進まないのである。絵画贋作の犯罪劇とラブロマンスと法廷劇、そしてコンゲーム的要素が取っ替え引っ替え登場し、それらが渾然一体となって相乗効果を生み出して… いないんだよ。詰め込み過ぎなのだ。
 前半の贋作作成のシークエンスはどうみても悲劇的な結末を予感させるアンニュイなタッチで、観るほうとしては身構えてしまう。後半、殺人事件に発展し、逃亡、そして… と話が進み、これは絶対に悲劇的な結末になるねと思わせておいて、そこからがびっくり。急に法廷劇にシフトするのだ。贋作か否か、殺人者は誰かというツメがそれは正統的な(?)法廷劇的手法で展開する。そして、アレレと思ううちに、無罪を手にすることができ、どんでん返し的クライマックス。エピローグは甘い恋で幕を閉じ、結局、悲劇ではなく大団円。
 それはそれでいいんだけれど(だってわざわざ悲しい話を見たいなんて思わないでしょ?)、でもなんとなくアンバランスで安直な気もしないではない。煩雑でとっちらかった印象もまた否めない。重いシリアスな話なのか軽い犯罪ロマンスな話なのかというバランスも微妙で、もう少し作品全体のトーンを安定させたほうがいいんじゃないか。

 だからといって面白くない話というわけではないというのがこれまた不思議ではあるのだけれど。ただそういう事情(どういう?)なので、手に汗握るサスペンスという感じではなかった。
 ジョンバダムって器用な職人だから、そこそこ見られる作品を作ってしまうけれど、才気走った作風でもないから、脚本の持つ不安定はそのまま作品に反映してしまうのかもしれないなとも思うのだった。

 てなわけでどうも最後まで、いまひとつ真剣にのめり込めないままであった。


お話

 ホテルのロビーでお楽しみなんて欧米の人ってなんて大胆。


お話
★★★ ☆☆

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