CHART-DATE : (2001/06)
作品
幽霊
… ユリョン

(監督:ミン・ビョンチョン)


お話

 深く静かに潜行花火。


お話

 緊迫した雰囲気につられて、それなりに楽しめるのだけれど、満足したとは云いがたい。
 今ひとつピンとこなかった理由は、話(あるいは人間関係)がなかなか見えてこないせいだ。とにかく一度死んだ男が秘密部隊に編入され、隠密理のミッションに参加するという状況だけを描き、誰がどんな思惑で動いているのか、それぞれのスタンスと前提条件(設定)が、なかなか一発で頭の中に入ってこなかったせいかもしれない。それは主人公の戸惑いを描く演出なのかもしれないが、それにしてもミッションの内容まで今ひとつわからないというのはちょっと渋りすぎではなかろうか(もっとも読みとれなかったのオレだけなのかもしれないがね)。

 どこまでが国の命令でどこからが個人の計画なのか。
 何故、自沈しようとしたのか。
 何故、それを止めようとしたのか。止めてなにをしようとしたのか。
 無謀な戦いを仕掛けようとした何故か。
 表面的には、核ミサイルを発射しようとする反逆者と、それを止めようとする一人の英雄の戦いに収斂する。複雑な話のようだが、終わってみれば実は単純な物語なのだが。
 しかし、もっと深いところまで考えるとやっぱり複雑なのだ。誰が“悪”なのか。誰が“善”なのか。状況だけから云えば艦長を殺して暴走した副艦長が敵役となるわけだが、それぞれが自分のイデオロギーに従って動いただけであり、そういう意味においては本当の意味での悪役はいない。まあ、ポリティカルな部分に踏み込んじゃうといろいろとややこしくなるので、おいとくとして、とにかく話が中盤にさしかかるまであまりにも目的がよくわからないということだけは云える。それが雰囲気を生み出していると感じるか、曖昧でわかりにくいと感じるかは、観る側次第ということなのだろう。


お話
★★★ ☆☆

ページトップにもどる