CHART-DATE : (2003/05)
作品
炎の統治
… サラマンダー

 (監督:ロブ・ボウマン)


お話

毒を喰らわば、沙羅曼陀ぁ!(お約束)


お話

「なるほどなぁ、上手いなぁ」と思ったのは、話をドラゴンとの戦いの物語として設定していないところだ。
 普通なら、ドラゴンが出現したら、人類対ドラゴン、軍隊対ドラゴンと時系列的に展開させうるパートとなるべきところであろうが、それを端折り、すでに人類は敗北しているという事実を前提に、そこからどういう世界になっているか、そしてどう変化していくかに視点を置いているのだ。
 現実問題として、異形の生物との大戦争を描くとしたら、相当に大バジェットの映画となってしまうのは想像に難くない。だから、おそらくそこそこの予算しかなかったであろうこの映画においては、ドラゴンは一体ずつ、しかもスポット的に出現する、というのは、許容できるギリギリの選択だったのではなかろうか。よくよく観れば、舞台しかりCGしかり、非常につつましかったりする。しかし、その制約を逆手にとって、荒廃した世界観や共倒れしはじめているドラゴンといった効果的な設定を成立させていると思う。まあ、頭がいいなと感じた次第である。
 まあ、裏を返せば、せこさが残るというみかたもあり、一概に凄いなあと誉めきるとまではいかないのだが、まあ、うまくできたなぁとは思う。
(と勝手な想像で書いているが、実はめっきり高バジェットだったりしてね)


お話
  1.  誠実だなと思ったのは、軍人君も単なる暴徒、略奪者と化しているのではなく、生き残るための努力と信念によるってところ。この手の話では盗賊になるてのがパターンで、ステレオタイプは陳腐でしかないからね。
  2.  もっとも、そもそもの設定であるドラゴンだが、いろいろと無理があるのは否めないなぁ(まあ、話としてはまあ許せる範囲ではあるが)。
     ドラゴンが魔物ではなく生命体であると行っている以上、理屈のとおる生態系を持っていなければ、生き延びてはいないわけですよ。例えば、全てを食いつくし、また生物が繁茂するまで眠りにつくというのは一見スジがとおってそうだが、生物がそんな不確実な可能性に遺伝子を委ねるとは思えない。
  3.  それに雄が1体しか存在しないってのも繁殖率から考えるとへんでしょ。ひとつひとつのコロニーについて、そういう群体構造があるのはいいとして、その種全体で1体ってのは種として保たない。滅びる。そういう場合、生物としては、雄がいなくなると雌が変態する。あるいは雄を生む。単体生殖で雄が発生する。などのフェイルセーフ機構があるはず。でも、そうなると、人類は(主人公たちは)ぬか喜びってことになるわけで、なんともやりきれない話ではある。
     実は、中盤あたり、主人公が殺したドラゴンの卵をチェックしているシーンがあるのはそういう含みがあったのかなぁと勘ぐったのだが、どうやらそうでもないらしい。
  4.  唯一の(?)娯楽、演劇大会について。一見ナイスエピソードっぽいけど、主人公が子どものころってSW(しかも帝国の逆襲)の時代じゃないじゃん。熱狂するほどのファンにはなっていないと思うんだよね。そのあと、すぐに世界戦争になっちゃってるし。だから、つかみとしてはたいへん面白いとは思ったが、あれは主人公じゃなくて監督(あるいは脚本家の)の趣味なんだろうなぁと思ったわけ。勘ぐりすぎかなぁ?
  5.  エンジェルダイブがなんかすごくリキはいってたような気がする。確かに萌えるシーンだ。

お話
★★★★

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