CHART-DATE : (2004/02)

題名

夢見島
… 星砂の島、私の島 アイランド・ドリーミン

(監督:喜多 一郎)

お話

 またはーりぬちんだらかにゅしゃまよ

感想

 まあ、『竹富島』と『モー娘。』というオレ的二大御馳走がそろっているとあらば、とりあえず観ておかずばなるまい。例え、それがどんなにしどいデキであっても、眼福くらいはできるだろうし。ってな気持ちで観に行ったわけではあるが、あにはからんや、思った以上に面白かったし、けっこう感動してしまった。基本的に成長物語なわけで、きちんとつくられていればエモーショナルな部分にひっかかるのは当然なのだ。で、まんまと釣られてしまいました。って感じですかね。

 一番グッときたのは、主人公北条早苗が、八重山にはまっていく感じ。そうそうそうなんだよなぁ。とかなり実感するところ満載である。沖縄、イコール、トロピカルアイランドリゾートというありがちな誤解からはじまって、なーんにもない小島、竹富の魅力がじわじわ〜と浸透してくる。いやホント、もしオレが同じ状況におかれたらきっと同じ道をたどってしまうだろうと共感しまくりである。

 島の生活における、細かいエピソードが実にさわやかで、まさに青春映画なのだ。すれた現代社会においてそんな甘い設定を成立させてしまうのは、いやだいやだといっておきながら存外あっさり島にはまってしまう主人公のお気楽ノーテンキな性格のせいもあって、そんなまっすぐぶりはだから好ましいし、それを納得させてしまうのは舞台である八重山の空気であろう。買いかぶっているのかもしれないがオレはそう思う。
 島っぽいなぁ、と思うところは、例えば新体操に対するオヤジ達の目線とかもそう。別に島の人が下品とかいう意味ではなく、新体操に対するベタな反応という単純っぽさが島っぽく感じる。そういうあまりごちゃごちゃ考えないシンプルさがオレの中の島っぽさなんだなぁ。だから、こんな教育TVっぽい健全明朗ド田舎シチュエーションハートフルコメディというベタが許されるし、リアリティがあるのだと思う。

 ひさびさに普通に楽しい映画を観た。いつもひねくったジャンルムービーばかり観てちゃいかんなぁとエリを正した次第である(いや、亀井絵里だからじゃなくてね)。

補足

  1.  娘。6期生ってことが話題ではあるが、映画の中では、思いの外、重用していないというか、話として必然ある役割を与えている。まあ当然なのだが、アイドルにおもねって歪曲する映画がないわけではなく、そうならなくてよかった。しかも、それぞれが役として活きるように配置され、またそれにしっかり応えるよう頑張っている。特にキャメイは準主役級という役だが、しっかりと主張できていたと思う。なんたって東京出身なのに島の子の顔になってたしね。
  2.  それにしても、なまじ舞台を知っている身としては、演出上のウソがツッコミ要素となる。例えば学校の校庭の台の位置からだと朝礼のときの影の出来方が逆なんじゃないか、とか。あるいは、その道を進んでいってもコンドイ浜には着かないんだけどなぁ、とか。正しくない映画のみかたなんだけどさ。
  3.  それにしても新体操のレオタードがやけに生々しかったのは、オレもオヤジだからか?
  4.  種取祭り、そりゃあオレだって見たいさ!
  5.  竹富島が楽園のような描き方をしているが、確かにウソではなくて一面においては本当に楽園なんだけれども、そのうしろにある過疎化や高齢化とか、開発と保存の相克などのさまざまな問題点もそれなりに知っている身としては、ちょっとうわっ面的だなぁ、と思う面もないわけでもない。しかしそれはこの映画で描くべきテーマではないから、ね。

星取

★★★★

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