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八重山にマブイ落としに  …1

 あこがれの八重山へ   

 八重山諸島へ行くことになった。いずれは行こうと思っていた憧れの地だ。
 時は、夏も終わろうかという9月のはじめ。関東地方は残暑とはいえ、秋の気配を感じさせていたが、南の島では、まだ夏は終わってはいない(はずだ)。時期的には台風の不安もあったが、しかし旅立ってしまえばこっちのもんである気分はすでにさすらいの旅人。さあ、ようやくオレの夏が始まる。

 今回の目的地は竹富島と石垣島だ。
 自分は根が貧乏性のせいか、旅行に出るとどうしてもあちこちがっついて観光してしまう癖がついてしまっている。もちろんそれはそれで充実感があって楽しいのだが、たまには日がな一日をだらだらと過ごす旅もしてみたい。そういうゆるゆる予定ののんびり旅には、竹富島がぴたりあっているだろうと思ったためだ。
 そしてそれは実に正解だったのである。半分だけは。竹富島も石垣島も時間の流れがゆるやかで本当にのんびりできた。しかしそれと同時に、こっちからなにか仕掛けなくても向こうからハプニングが転がり込んでくる。あれよあれよというまに面白い経験に巻き込まれていく。そんな不思議な旅でもあったのである。
 それは那覇へ行く飛行機の中で早くも始まっていた。


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