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八重山にマブイ落としに  …20

 ビーチに忍びよる恐怖   

 石垣島のガイドブックには必ずといっていいほど「川平湾には絶対行きましょう」と書いている。なれば、どれほどのものか見てやろうじゃないですか。

 道々、小高い丘の上にあるバンナ森林公園。その中腹にある『エメラルドの海をみる展望台』に寄り道しつつ、車は川平へ走る。ちなみに展望台からは昨日までオレたちが過ごした竹富島の全景がよく見えた。ところが、なんと島の上には雲がかかっていて、スコールも落ちているようなのだった。オレがいたときは雨の素振りも見せなかったくせに。なんか損をしたような得をしたような妙な気分だ。

底地ビーチ  川平へ到着すると、とりあえず底地ビーチへ行ってみる。ホテルのプライベートビーチ的な位置付けといっていいのだろうか。ビーチの手入れが整っている。サメよけ用か水難防止用かわからないが網が湾内に張り渡されて安心でもある。
 平日ということもあり、また時間も3時をまわっていたせいもあり、ビーチには本当に数えるほどしか人はなく落ち着いた雰囲気だった。
「なるほどなぁ」とぽんすけはいった。
「確かにいいかも。子供連れで遊ぶんだったら安心できるかもね。でも…」
 確かにきれいだし、悪くはない。しかし野方図なまでの自然に任せた竹富のコンドイ浜を経験した今となっては「それほどでもないな。ちょっと管理されすぎているところが、なんかせこいなぁ」と思わずにはいられなかった。

 ところで、底地ビーチのそこここには出来損ないの妖怪ポストのようなものが立っている。いったいなにかと中をのぞくと、ペットボトルが2本。手書きのラベルには『氷酢酸 飲用ではありません』と書かれていた。
「?」わけわからん。
 目線を下におろすと張り紙があり、そこに全てが説明されていた。ハブクラゲに刺されたときの救急用品なのだ。そういうことか。前日に猛毒生物本を読んで、かなり多いのだとはわかっているつもりだったか、本当に出るのだ。恐ろしー。

 軽くビーチ内を歩き回り、とって返して川平湾のほうへ移動する。こちらビーチではなく、小さな島が湾内に点在する、遊ぶというよりはいわゆる景勝地である。
 確かに風光明媚なのだった。深く食い込んだ湾内には小島が点在し緑の木々をたたえている。沖のリーフみるためのグラスボート(?)がのんびりと視界を横切ったりして、それがまた雰囲気なのであった。
 確かに行ってみるべしというガイドブックの記事はわかった。駐車場の付近には、土産物屋もあって、もうまごうことなき観光地。なるほど、こりゃ綺麗だわい。と急に歳くった感想になるのはそののんびりした雰囲気に飲まれたせいでしょうかのう。
 でも観光地だから1回行けば十分かもな。とも思ったことも本当である。


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