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台北ぶらり旅  …5

 足ツボリラックス! お調子者   

 ホテルの2軒隣りがマッサージの店だったのは、幸運だったのだろうか。
 MRTの中で、今日一日を反すうし、なんとなく物足りない気分を確認したのだ。で、そんなムードを払拭すべく、足ツボマッサージにトライすることにした。
 この店が、またほとんど日本語が通じない状態で、それは午後11時という時間に行くオレがいけないのかもしれない。が、11時閉店というわりには深夜近くまでけっこう客がやってくる(といっても数人だけど)。おそらく、基本的には観光客も来るけど地元の人も来るよというようなタイプの店なのだろう。店内は小ぎれいにまとめられており、場末た感じはない。
 はじめてなので足ツボ30分コースを選び、あとは流れに身を任す。まずは、薬湯に足をつけてのリラックスタイム。十数分後、マッサージの準備も整いそちらへ移動する。片言の日本語と英語と台湾語でコミュニケーションがとれているようなとれていないような不思議な状況の中、足裏はグイグイと揉まれていく。「思ったより痛くないなぁ」と思っていると、突然、バシコッとツボにはまり強烈な激痛が走ったりもする。くぅー。もっと言葉がやりとりできるなら、状態の説明もするのだが。我慢していいのか、あっさりと負けを認めた方がわかないのが一番つらい。
 と、内面ではそれなりにでっこみひっこみはあったのだが、表向きはにこやかに施術されているオレ。客は他に1、2名という深夜。TVからは何故か『欽ちゃんの仮装大賞』が流れていて、マッサージのお姉さん(こう書くといかがわしいみたいだ。そうじゃないんだけど)、そして時折顔を歪めるオレ、店内のまったりとした人々はぼんやりとTVに見入っていた。
「肩が凝ってるね、ついでにどうか」と聞かれた。むむ、これが営業トークというやつか? と思う。別にやってもよかったのだが、深夜過ぎという、時間が時間だったので、そのときは「明日、来たときにやるよ」と云った。それは婉曲な断りという意味ではなく、文字通り本当にそういうつもりなのだった。

 さすが本場は違うというか、半時間のマッサージで足は見違えるように軽くなっていた。文字どおり足取り軽くホテルへ向かい、そして通り過ぎてしまうオレ。深夜もまわったこの期に及んでまだなにかをしようというのか。実は、旅の一日の締めくくりかたについては考えがあったのだ。ホテルの近くは、自在食というバイキング形式の総菜屋が数軒あった。店によってひとタッパー料金均一だったり、総菜数で値段が決定だったりと、いろいろあるようだが総じて“お安い”。そして深夜過ぎても営業中なのだ。つまりそこで適当につまみを見繕い、コンビニでビールを買ってホテルで、というのがオレの作戦だったというわけ。
 で、手頃な店に入る。テイクアウト用に入り口近くにある紙製の折詰を自分で取り出し、あとは指さし確認で総菜を選ぶ。そんなに頼むつもりもなかったが、とりあえず、空芯菜ととんぽうろう、煮豆腐、そしてこれが一番驚いたのだが、白ゴーヤの煮物をチョイス。もちろんライス抜きで(おばちゃんはしきりに飯はどうするときいてきたが)。ちなみに、今回の旅では3日間全て、“締め”はここで総菜を買って部屋ビールいうパターンになった。それはいいのだが、店のおばちゃんに、最後まで「飯はいらないのか」ときかれたのはどういうことだったのだろうか。
 ともあれ、ようやくホテルに戻ると、言葉のわからないお笑い番組を観ながら、缶ビールをカシュ!といわせる。なんか怒濤のような一日だったような気もするが、まだまだ旅は始まったばかりなのだ。


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