▲南船北馬トップページへ

台北ぶらり旅  …13

 スパリゾート再! お調子者   

 とりあえず山の気分を堪能したということで帰路につく。  バス停までは車道脇を歩いてもどる。往路よりもはるかに近い。ようするにビジターセンターがちょっとはずれたところにあって遠回りしていたということか。
 さて、実はここからが陽明山訪問のメインディッシュ、公衆浴場である。陽明山前山公園内にそれはごく普通にある。まるで公園の四阿のようでもあり、有り体に云って公衆トイレのようでもある。しかしこれが温泉なのだから驚きである。無料ということや、池そばの眺めのよさなどという、地の利もあってか、臭豆腐やおでん、ビーフンなどの屋台が遊歩道を埋め、湯上がりの人もそうでない人も、のんびり楽しそうに野外の憩いを楽しんでいる。まさに下町の公園の雰囲気である。山の上なのに。
 なにはなくとも公衆浴場である。無料ということはあまりきちんと管理もされておらず汚いのではと思っていたが、予想外に小綺麗でびっくりした。もちろん、古びてところどころガタがきていてはいたが汚いとボロいは違うのだ。オレ的には、通な感じがナイスにツボをつき、気分がどんどん盛り上がっていった。
 入口にドアはなく、沖縄のピーフンみたいな回り込みの構造になっている。靴脱ぎ場はかろうじてあるが、脱衣場はもちろんない。建物は円形で、真ん中に円形の湯船がドンと設えてあり、外周の壁に脱衣棚や、蛇口が配置されているちょっと面白い構造である。
 人、人。人。夕方というちょうどいい時間帯ということもあるのだろうか、場内、まさに場内と云う言葉がぴったりなのだが、そこには地元のおっちゃんたちと少数の観光客らしき人でごった返している。遠慮しつつも奥へ進み、ささっと裸になり湯船につかる。少々ぬるめだが、汗をかいた後ということもあり、ちょうど案配のいい最高の気分である。立ち上る湯気が天井にのび、天窓の夕方の柔らかい光りに映える。
 ひとしきり落ち着いたので、まわりを見るともなく見まわすと、実に自由に湯を楽しんでいる姿が見ることができる。湯船わきに座り込み延々とヨガ(ストレッチ?)をやっている老人。湯桶で湯船から何度も何度も湯を組んでは頭からかぶる行動を延々と繰り返す自分シャワー親父。極めつけは、サンタルチアを大熱唱するオペラ親父。クライマックスにはまわりの人もコーラス隊になり場内大合唱なのだ。なんかいいなぁ。まあ、ある意味迷惑なのかもしれないが、場の雰囲気がそういうことも全部許しちゃう感じなのだ。大らかでいいなぁ。
 そんな感じでのんびりとしたリラックスタイムを過ごしたのだった。


次のページへすすむ

南船北馬トップにもどる