G式過剰



第24ステージ
『夏のスポーツ 〜海編〜』

 7月に入って晴れた日が続いている。梅雨明け宣言。夏がはじまった。

 夏といえば、マリンスポーツ。というわけでシーカヤックにチャレンジである。
 実のところ、昨年の海遊び三昧の影響でチャレンジ魂に目覚め、10月からその気にはなっていたのだ。が、肝心の週末になると、悪天候。そうでないときゃ予定アリと、どうにもうまくタイミングがあわずじまい。このままでは永遠に行けない。もう大雨でも行く。行きたいのだ! と半ば自棄気味になりながら(?)とうとう行ってきました。

 場所は、葉山は森戸海岸。とりあえず超初心者コースの講習に混じる。コンディションはあまり芳しいとは言いがたがあったが、ドシャ降りでなかっただけでも感謝。雨がパラついてもそれはそれで味があったし、数百メートル沖の小島周辺は透明度も高く、潜りたくなる程。
 というわけで波に揉まれ塩水を被り海を堪能した一日であった。これを機に深くはまるかどうかはわからないが、とりあえずもうこりごり… なんてことにはならなかった。

 以下、気づいたことをいくつかあげてみたい。

1 年齢層は思ったよりも高い
 マリンスポーツということでもっと年齢層が低いかと思っていたのだが、年齢は意外とばらけており、うら若い女性から初老のおっさんまでバラエティあふれる面子。特に講習グループの4名はオヤジばかり。層が厚いね。いや単に母数が小さいだけか?

2 カヌーは意外と早く進む
 ちょっとしたパドリングのレクチャーを受け、森戸の砂浜からエントリーする。湾内は波もなく静かで、軽くパドルを入れるだけで滑るように進む。思っていたよりも遙かに力もいらない。快適である。
“漕ぐ”というのはパドルを支点にして艇を前に引き寄せるということだ。考えればまったくその通りなのだが、普段なにげに漕げば進むと思っていた頭に目から鱗が落ちた思いであった。

3 沈はしてみるものだ
 湾から出るといきなり波が高くなる。風も強く漕いでもなかなか進まなくなる。しかしそれもまた海の顔。いろいろな状況があって当然だ。
 練習がてらちょっと離れた小島まで行こうということになる。そこで艇の向きを変えようとしたその瞬間、事件は起こった。やばいと思ったときはもう遅く、バランスを崩して『沈』。艇はクルリとひっくり返りオレはそのまま海の中。
“あ〜あ、やっちまったよ”
 よく「沈したらパニックに注意」と書かれているが、意外と冷静にその事態を受け入れることができるものだ。スプレーカバーを外して体を抜き出してという(本で読んだ知識どおりの)行動をとることができた。普段海中で目なんか開けられないはずなのにしっかりと一挙動を見て確認しながら。まるで時間が止まったかのような感じで。ようするに脳がフル稼働してたんだねぇ。
 もっとも、海面に顔を出してからのほうが怖くてライフジャケットを着てはいても高い波を頭から被り溺れるかと思ったよ。第一オレ泳げないし。「やっぱり海は怖い」と思ったものだ。
 インストラクターの兄さんに助けてもらい艇に乗り込んだあともかなりへこんで、熱モノナマス状態。まあ、それでも早いうちに沈を体験しておいた方がいいんだろうね。

4 シーカヤックの弱点?
 昼を食べながら聞いたところによるとその日の海のコンディションは実際そんなによいものではなかったのだそうだ。高波のうねりは1.5メートルほどもあっただろうか。数メートル先を進む艇が波に隠れて見えなくなることもあるぐらいだから。
 が、実は波が高いというのは好条件ではないが影響は少ないらしい。波が高くても推力さえかかっていれば、そしてバランスさえとれていれば全然問題ないのだそうだ。
 もっともビビリ男と化したオレにはどちらも大自然の敵意でしかなかったりするのだけれど。

5 全身運動
 昼食のためにいったん陸に上がる。数時間のパドリングで握力はなくなり腕に力が入らない。それはまあ当然なのだが、下半身も予想外に疲れていたのだった。ただ座っているだけなのに。それは緊張していたせいもあるのだが、実は艇を安定させるために膝をしっかりと入れて押さえておく必要があるからだった。思えば沈したときも、ただ漫然と座っていたために簡単にバランスをもっていかれたのだ。いかに艇を押さえつけるか。それがわかればそこそこ乗れる。勿論まだまだそのレベルは遠い。

6 パドリングの極意
 午後は湾にもどり効率的なターンなどパドリングの練習。ターンのパドリングは早さよりもしっかりとした動作のほうが効率的なのがよくわかった。不必要に力を入れるのではなく、角度とタイミングということだ。だいぶわかってたぞ、と心地よく漕いでいるとインストラクターから指示が飛ぶ。
「小指はたてなくてもいいですからねー」
 ほっといてちょーだい。

7 自宅にて
 帰ってきて横になると、体がまだ揺れている。半日も海の上で揺られてせいだ。これが船酔いってやつか? こんなポワンポワンな状態はその昔日帰りで志賀高原にスキーに行ったとき以来かもしらん。

 とりあえず、これがオレの海上デビューであった。本気で楽しかった。でも今度はもっと晴れた日に、そしてベタ凪の時に、行きたいっす。イヤホント。

2000年07月19日

G式過剰